2014年11月20日

遅刻をしたら懲戒処分だ!給料を没収する!と言われた

【相談】アルバイト先の店長が、『遅刻1回につき日給を半額没収、月3回遅刻をしたら懲戒解雇して、その月の給料を没収する!』と言っています。
こういうことって許されるのですか?

【回答】
労働者の都合で働かなかった分について給料が支払われないことは違法ではありませんが、就労しなかった程度を超えて減額することや、給料を没収したりすることは許されません。
また、懲戒処分として減給する場合も、あらかじめ決められた懲戒規定に従って適正かつ妥当な範囲で行わなければなりません。

■ルール違反の責任と限度
遅刻や無断欠勤は非難されるべきことですし、法律的にも、契約上の義務を果たさなかったことへの責任が発生します。
だからといって、会社は何をしてもいいという訳でもありません。
遅刻や欠勤が会社の責任によるものでない以上、会社はその時間について給料を支払う義務はありません。
ですから、所定労働時間のうち、働かなかった時間に応じて、労働契約や就業規則の定めに従って、その分の賃金が減らされることは違法ではありません。
しかし、遅刻した後で、実際に働いた時間分の賃金を減らしたり、没収したりすることは、就業規則等で定める懲戒処分として行われる場合を除いてできません。
働かなかった時間に対応する額を超えて給料を減額することは、実質的には労働基準法が禁止する損害賠償予定にあたると考えられます。
あらかじめ労働者が支払う損害賠償額を決めてあったとしても無効です。
没収するなどの行為は、当然に違法です。

■懲戒処分のルール
多くの企業では、労働者がルール違反をした場合に、就業規則で譴責あるいは戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇などの懲戒処分制度を設けています。
懲戒事由の主なものとしては、業務命令違反、職務違反、無断欠勤、信用失墜行為、職務外非行などがあります。
遅刻も、このような制度が対象とするルール違反行為であると言えるでしょう。
しかし、会社が懲戒処分をするときは、あらかじめ処分の事由、内容と程度を就業規則や契約に定めておいて、それを労働者に事前に知らせておくことが必要です。
そして処分は、その規定に従って、本人に弁明の機会を与えるなど適正な手続にのっとって行う必要があります。
さらに、それらの条件を満たす処分でも、不当な目的で行われたり、労働者の行為と比べて処分の内容が重たすぎたりすると、無効とされます。
遅刻は確かに悪いことですが、会社が改善のための指導や警告をしないまま、数回程度の遅刻という結果だけで懲戒解雇することは、社会的な相当性を超えると判断されるでしょう。

■懲戒処分で減給できる程度
懲戒処分として減給を行うことには、労働基準法で上限額が制限されています。
1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超え、2、総額が一賃金支払期(月給制なら1か月となります)における賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。
また、たとえ懲戒解雇されてもやむを得ないような場合でも、既に働いた分の給料を不支給とすることはできません。たとえ事前に決めてあったとしても、没収はできないのです。
ただし、退職金については、懲戒解雇のときに支給しないことが就業規則などで定めてあって、退職金を不支給とするのに十分な非行が労働者にあった場合には、支給しないこともできます。

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2014年10月30日

会社の機械を壊してしまい、給与から弁償代が引かれている

【相談】
会社の機械を壊してしまい、50万円弁償しろと言われて念書を書かされ、毎月の給与から数万円ずつ引かれています。
マニュアル通りに操作していたし、不意に障害物を避けた結果のことです。
念書を書いてしまったので弁償するしかないのでしょうか。

【回答】
労働者に過失がある場合、会社が労働者に損害賠償を求めること自体は違法ではありません
しかし、労働者のみに責任を負わせるのは不公平なので、判例では、労働者への責任追及が制限されたケースも多いです。判例の多くは、損害の全額を労働者に負担させることはできないとしているのです
具体的には、労働者本人の責任の程度、違法性の程度、会社が教育訓練や保険に加入するなどの損害を防止するための措置をとっていたかなどの事情を考慮して、労働者が負担すべき賠償額が判断されます。

仮に、労働者が会社に損害賠償責任を負う場合であっても、給与から天引きすることは、労働基準法により禁止されています
したがって、給料を規定どおりにきちんと支払い、その上で労働者に損害賠償を請求する必要があります
また、労働契約を結ぶ際に、「備品の破損は1回5,000円を労働者が弁償する」とするなど、労働者が会社に与えた損害について、あらかじめ賠償額を決めておくことも労働基準法違反となります。

念書にサインをしてしまっていても、給与からの天引きは違法なのでサインは無効になります。
会社が保険に加入しているのであれば損害賠償を支払うことはおかしいので、その点を確認してください。

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2013年12月11日

会社が勝手にタイムカードを押す

よく聞きます、会社が勝手にタイムカードを押す(##゚Д゚)
だから、タイムカード上は残業していないことになっている(´;ω;`)

そんな会社の場合、証明できるものがないから残業代は請求できないのかexclamation&question

いえいえ、そんなことはありませんexclamation×2

自分で出退勤をつけましょう。

・手帳にメモ(自己深刻なので信用性は薄いですが、ないよりマシです)
・メールの送受信やパソコンのON、OFFのデータをプリントアウト(するなと言ったのに自分で勝手に残業していたと会社は主張するでしょう。ですから、上司からの業務指示のメールだと証拠としてバッチリです)
・ビルの管理人さんに鍵を返した時間のコピーなどをもらう
・会社の時計を写メで撮る(見られたら怪しいと思われますのでこっそりと)

その他、休日に会社から電話やメールがあって業務の指示をされたというのもデータを保存しておいたほうがいいですね。

自分が残業や休日出勤などをしていた証拠を残しておき、それを日毎にエクセルなどで表にまとめて、時間外労働の賃金額を計算した上で労働基準監督署に行きましょう。

労働基準監督署への申告は、証拠を全部持参し、計算も全てした上で、自分で会社に請求したけれど支払われないという証拠も持って行かないと監督官は動けませんよー演劇

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2012年08月03日

最低賃金ギリギリってのは・・・

今のご時世、人件費を払うのもきついというところはたくさんあります。
最低賃金以上の時給であれば法律的には問題はないのですが・・・

しかしexclamation×2

例えば、最低賃金が759円の埼玉県で、「時給759円」と出している企業があったら(あると思います)、1円でも多く払いたくないという気持ちが見え見えであまりい気持ちがしないです。
切りのいい760円にしてくれexclamationと思いますね。

この最低賃金、都道府県によって違うのですが、例えば川を渡ったらお隣の県という場所に住んでいて、橋を渡った事業所に勤務しているから最低賃金が100円も違うというのはどうも納得できませんね。

仕方ないのですが。

東京は837円、千葉は748円ですから、切りのいい時給にしているところが多いので、850円と750円で100円違うわけです。

だったら、最低賃金の高い東京で働きたいですよね。

どうしてこのように地域差があるのかというと、最低賃金を決める際の目安が次の3つだからです。
1労働者の生計費
2類似の賃金
3事業主の支払い能力

1番の生計費は、家賃などが地域によって違いますからわかります。
2番は、なんだか言いくるめられている気がしますね。類似の賃金を作ったのも最低賃金が関係しているんだし。
3番は、なんじゃこれexclamation&questionです。

景気が悪くなれば支払い能力も衰えるから最低賃金が下がる右斜め下
購買意欲が衰えるので、どんどん景気が悪くなる右斜め下
企業が儲からないので、支払い能力が下がり、最低賃金も下がる右斜め下

ダメでしょう爆弾

とは言っても、個人の力ではどうすることもできない最低賃金。
最低賃金が高い県で働きましょうと言うくらいですふらふら

個人ができることはどんなことがあるのか?
労働者を守る会の勉強会でのテーマにしたいと思います。

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2012年03月09日

一方的な減給、どうすればいい?

会社から一方的に、お給料を減額すると言われたらどうすればいいか。

まず、理由を聞きましょう。
正当な理由がなければ(経営難など)減給はできません。
例えば、「他の人もみんな減らさせるから」「他の人と比べて多いから」「業務内容を変えるから」などは正当な理由ではありません。

会社側はあれこれ理由を言うと思いますが、そこで「はい、わかりました」と言ってはいけません。
(もし言ってしまっても、法的にはなんら問題はありませんが、会社から「同意しただろ」と難癖付けられるのが厄介ですから)。

いきなり言われてビックリしてしまい、どうすれば良いかわからないと思いますので、
そのようなときは「困ります」とか「嫌です」と意思表示だけして、あとは専門家に相談しましょう。
そのような意思表示をする勇気はないという場合は、とりあえず返事をしないでおくというのでも良いでしょう。

念書にサインをしろと言われても、してはいけません。
(仮にしてしまっても無効になる可能性はありますが)。

そして、いつ誰にどのように言われたのかを手帳などにメモしておきましょう。

諦めずに、専門家に相談して下さい。

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