2015年06月04日

「こころの診療室」に勤務して心の病になってしまった看護師さんのお話

いじめはダメよと子供たちに言っている学校の先生の世界にいじめがあったり、過労で倒れた人を助ける医師や看護師が過労で倒れたり、労務管理の専門家である社労士事務所が労基法違反をしていたり・・・

これもそんな話です。

早稲田大学の「こころの診療室」に勤務している看護師さんが職場の嫌がらせにあってこころの病になってしまったという実話。

概要はこちら ※My News Japan にリンクしています

ご本人の許可を得てブログに掲載しています。

精神的に辛い状況になってしまった学生さんが診察や治療に訪れる「心の診療室」に勤務していた北野さん(仮名)は、この職場で嫌がらせにあい退職。労働局のあっせんに会社が応じなかったので次にどうすればよいかと守る会に相談に来られました。
当初、労働審判を視野に入れられていたのですが、相談員は反対でした(理由は後述)。
何度もご本人からお話を伺い、訴えることのメリットやデメリットを伝え、誰に対して何をしたいのか目的を整理することにしました。

結果、審判という解決方法ではなく、広く世間にこのことを知ってもらうため、ライターさんにお願いして記事にしてもらうという解決方法に至りました。
相談員のわたくし須田がインタビューに同席しました。

なぜ、相談員が審判に反対したか。
それは、会社側(学校側)に違法性が見当たらなかったことと、ご本人の気持ちが整理できていなかったからです。

違法性がない労働問題?

労働問題は大きく分けて2種類あります。
労働法違反の問題と、労働法違反ではないいじめや嫌がらせなどの問題。

この方は後者でした。最近は後者の相談が多いです。
いじめや嫌がらせも訴えることは可能です。
しかし、まずはご本人にどうしたいのか、何が目的なのかを整理してもらわないと、それができていない段階で訴えてもすっきりしないことがあるのです。

法律違反ならどこが問題なのか白黒つきます。
しかし後者の問題は、どこが問題だと感じているのかご自身で整理できていないと、聞いた人によっても捉え方が異なり、本人の主張とずれてしまう危険性が大きいのです。
なぜならば、法律ではなく感情が占める割合が大きい問題だからです

ですから、話を聞いた人によっては、
「それ、あなたにも問題があるんじゃない?」「そんなことを気にしていたら仕事できないわよ」「違法性はないよね」
で終わってしまうんです。

上司や社内の相談窓口でもわかってもらえなかったという声を聞くことがありますが、原因はここなんです。
整理できていない段階で話しても感情任せになってしまい、主張が伝わらない。

いや、そんな状況で整理できないでしょ

と言われそうですね(^_^;)
守る会では、まずは一緒に整理しましょうという段階から始めます。
整理ができたら、裁判が良いのか、広く知ってもらいたいのか、社内での話し合いができそうなのか、経験からアドバイスしています。


聞く人によって捉え方が異なるというのは、相談員のあいだでもあります。
今回はインタビューの際に、ライターの林克明さんから「これは非正規職員への差別だ」と言われて私も初めてその部分に目が行きました(お恥ずかしい話ですがそれまではそこに気づきませんでした)。

会社の対応として、
「法律違反はしていないから問題ではない」「君の考え方を変えればいいのではないか」
という発言をされたと、よく聞きます。
友達同士ならアリかもしれませんが、上司や会社としての対応としてはNGです。

ライターの林さんから、このケースはパワハラに当たるのか、専門家の目線からはどうか?と質問され、私も、
「厚労省が出しているパワハラの基準には当てはまらないし、上司の発言に違法性はない」
と答えてしまいました(上記で述べた、会社の対応としてはNGですをそのまま答えてしまいました(ーー;))

法律相談に行って弁護士さんから「気持ちわわかりますが、違法かどうかと言われれば違法ではないです」と言われてがっかりされる方がいると思いますが、法律のみで判断するとこういう回答にならざるを得ないのです。法律家としてもジレンマ・・・

しかしその後数日間自分の発言を振り返り、一言忘れていた事に気付き、メールをしました。
「厚労省が出しているパワハラの基準には当てはまらないし、上司の発言に違法性はない」
だからといって問題ないわけではない!

今回のケースのように、自分の考え方がおかいしいのか、自分が悪いのか、自分が辞めればいいのか・・・
そのように精神的に追いやられるケースが増えていると感じます。

会社としてそのような解決方法はよろしくないですね。
もし「私が悪いのかな」という心理に追い込まれたらまずはご相談ください。

最後に、ご本人からコメントを頂いているのでご紹介します。

「今回大変な経験をしましたが、同じような立場の方々の何かの役に立てばと思い、勇気を奮って記事にしていただきました。辛く恐ろしい記憶を何度も思いださねばならず、その度に逃げ出したくなる程、心身ともに本当に苦しかったです。法律の冷たさみたいなものも味わいました。この年になって自分は何をやってるんだろう、何でこんな苦労しなくちゃいけないんだろうと思ったこともありました。しかしながら、今思えば、これは弱い自分自身としっかり向き合った大切な時間で、今後の人生を幸せにする準備のために必要だったのだかもと思っています。最も大変だったとき、運よく須田さんとの出会いがありました。恥ずかしい話ですが、今回の経験であっせんのことや、社会保険労務士という職業を初めて知りました。ハラスメントされたおかげで労働紛争からジャーナリズムのことまで勉強になりました。初めてのことばかりで不安も大きく、紆余曲折あって時間もかかりましたが、やっとここまで来れました。本当にありがとうございました。」

私も、このブログや北野さんのコメント、もちろん林さんの記事も、同じように困っている方のお役に立てればいいなという気持ちで掲載しました。

法律で白黒つけられない問題でも問題なんです。

NPO法人労働者を守る会ホームページ

労働者を守る会

posted by 労働者を守る会 at 11:43| Comment(0) | TrackBack(0) | いじめ・パワハラ

2014年12月12日

「給料泥棒だ!」はパワハラ?

【相談】
上司から仕事の配分で差別されたり、大声で怒鳴られ「お前は給料泥棒だ!」と言われ、精神的に参っています。相談したいのですが、どこに相談すればよいのでしょうか?

【回答】
職務と関係のない理由による嫌がらせは勿論のこと、職務上の目的が一応認められる場合でも、相手の人格を不当に傷つける言動は違法とされることがあります。
また、会社は被害の発生を防止する義務がありますし、被害が生じたときは、損害賠償責任を負います。
社内に相談機関や窓口がある場合は、まずはそちらへ相談されるとよいでしょう。

■パワーハラスメントとは
性的な嫌がらせや、労働組合活動への会社からの嫌がらせなどについては、その被害防止と救済のための制度が法律上定められていますが、職場で行われる暴力やいじめ、嫌がらせといった、いわゆる「パワーハラスメント」については、なにか特別な法律があるわけではありません。

労働法にパワハラに関する条文がないので、労働基準監督署が是正勧告をすることはできません。

しかし、職場であっても他者に暴力を振るえば、暴行罪・傷害罪となって刑事上の責任が問われるほか、皆で示し合わせて誰か一人を排除するようなことをすれば、脅迫罪となる可能性もあります。
また、そこまでに達しないような言動でも、社会通念上許される範囲を超えて相手の人格や尊厳を傷つけるものは、被害者への損害賠償責任を発生させます。

■叱責も違法?
職場では、業務上の指示や指導のうえで、やや厳しい言動がされることはありますし、労働者本人が不快に感じたからといって、その行動の全部が違法になるわけではありません。
しかし、その行動の目的と手段のそれぞれから見て、通常の企業の中で行われる範囲を逸脱した業務上の指示や対応であれば、違法なハラスメントになるといえます。
部下や同僚に対し、業務上の必要性もなく、嫌がらせなどの不当な目的で叱責したり、不安を感じさせる対応をしたりすることは、社会通念上許されないでしょう。
また、その言動自体は業務の範囲といえるものでも、退職に追い込む、あるいは見せしめなどの目的で、業務上の権限を使うことも許されません。
裁判例には、一人だけ炎天下の作業を命じたり、差別的に業務配分をしたりすることを違法としたケースがあります。
さらに、部下の指導や勤務態度の改善といった正当な目的でなされた行動であっても、暴力を伴う行為は、正当防衛にあたるような例外的なケースを除けば、およそ違法となる犯罪行為です。
また、言葉の上での対応も、その発言の内容が著しく労働者の人格や尊厳を傷つけるものであったり、社会的に許される範囲を超えて継続的になされたりすれば、やはり、違法となります。

■違法なハラスメントに対する対応
職場で違法なハラスメントを受けた被害者は、セクシャルハラスメントと同様に加害者本人に対する損害賠償請求ができます。
また、会社は、職場で行われた加害について、加害者の使用者として、加害者本人と同様の賠償責任を負います。
加えて労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することが出来るために必要な配慮をする労働契約上の責任もありますから、加害者があることを知りながら適切な対処をしなかったときは、この義務違反により損害賠償責任が発生します。
さらに社会通念上許されない業務上のパワーハラスメントによって健康被害が生じた場合は、業務災害として、労災保険からの給付を受けられます。
社内でのハラスメント被害を止めるためには、まずは上司や同僚、労働組合、役員など、社内の信頼できる方に相談してください。

上司に言われた内容をメモしたり、可能であれば録音することも忘れずに。

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労働者を守る会

posted by 労働者を守る会 at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | いじめ・パワハラ

2013年02月17日

何をやっても怒られる

職場のいじめ・パワハラ相談でよくあるのが、「何をしても怒られる」です。

私も経験あります。

どうやったらいいか聞く→そんなこと聞くなと怒られる
間違える→怒られる
良かれと思って気を利かせてやる→やらなくていいと怒られる
やるのをやめる→早くやれと怒られる
仲良くしようと話しかける→話しかけるなと怒られる
話しかけない→暗いと言って怒られる
空気を読んで残業→早く帰れと怒られる
帰ろうとする→帰るなと怒られる

私の場合はそれにプラスして、
「あんたのシャンプーのにおいが気に入らない」
「あんたのハンドクリームのにおいが気に入らない」
「あんたの服装が気に入らない」
という、あなたに迷惑かけていますか?ということまで怒られたのですが(+_+)

こういう人って、病気でしょ病院
誰かを常に怒っていないといられない病気。
その標的になってしまったらたまったもんじゃないというどころか、こっちが病気になりますもうやだ〜(悲しい顔)

解決策は?
すぐにコレという極めつけのものは残念ながらないのですが、その病気の人を変えることは難しいので、「そういう病気なんだな」と思うことで、自分が悪いんだということは思わなくていいです。

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posted by 労働者を守る会 at 06:00| いじめ・パワハラ

2013年02月16日

言えないものです

職場でいじめにあった経験がありまして、今思い返すと非常〜〜〜に悔しく、今度会ったら殴ってやるくらいの気持ちになりますパンチ

あの時言えなかったこともブワアーーーーと言ってやるパンチとか。

でも、パワハラやいじめにあっている時は、言えないんですよね。
言い返せない。

何で言い返せなかったんだろう、言い返せばよかったと思えるのは今だからで、やっぱりあの時は無理だった。

その時は言えないし言い返せないし、それでどんどんいじめられたり嫌がらせをされて、自分が悪いのかなあと思ってしまう。
そして、そんな気持ちでいるからか、普段ならしないようなミスを連発してしまい、さらに怒られる。

落ち込む→ミス連発→さらに怒られる→落ち込む→ミス連発・・・の負のスパイラル台風

じゃあ、いつどんなきっかけで負のスパイラルを断ち切ったのか?ですが、
私の場合は、環境を変えた=辞めた、です。

なかなかこのご時世、辞めてもすぐに次が見つかるわけではないですが、なるべく環境を変える方向で考えてみるのも一つの解決方法です。

ひとつ言えることは、
何もせずに相手を変えることはほぼ不可能
です。

どうしたらいいかわからないというときは、お電話ください。

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posted by 労働者を守る会 at 06:00| いじめ・パワハラ

2012年11月16日

録音の大切さ

先月、ある裁判に傍聴に行った。

普段から労働相談で「パワハラにあったら録音しておくかきちんとメモを残してください」と言っているのだが、この傍聴で録音の重要性を実感した。

録音の意味は、証拠を残すということであるのは言うまでもないが、その他にも出るところに出たら相手を動揺させる意味もあるのですexclamation×2

録音しているなんて知らない相手が、法廷でその自分のパワハラ音声を流されたら・・・

ビビります。

というか、恥ずかしいΣ(|||▽||| )

傍聴しているこちらは面白いですが( ̄ー ̄)


パワハラにあっている方へ。

どうすれば一番スッキリするかですが、パワハラ加害者本人をギャフンと言わすことでしょう。
それなら、法廷でパワハラ音声を流すことですよ。
もしくはテープ起こししたものを読み上げるカラオケ

パワハラ加害者も恥ずかしさでちっちゃくなりますよ(。-∀-)

やったー手(チョキ)

だから録音は必須ですexclamation×2

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posted by 労働者を守る会 at 07:07| いじめ・パワハラ